連載 生活の輪郭・第6回
記憶を継ぐこと
尾山 直子
pp.443-445
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688202039
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コムケ湖のほとりは、静けさのある場所だった。それはオホーツク海につながる小さな汽水湖で、海からの波音が途切れることなく聞こえている。
ひとの気配を察した鵜の群れが、一斉に飛び立つ。湖の対岸には、二羽のタンチョウが佇む。雲の流れは速く、時折顔を覗かせる太陽が水面をきらきらと光らせている。
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