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巻頭言
Less is more
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阿古 潤哉
1
1北里大学医学部循環器内科学
pp.617
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102520
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- Abstract 文献概要
今の医学のあり方では,ある病態に対しては常に何かを加えることにより対処することが行われてきている.しかも,病態一つ一つに対して個別の方法で対処することが求められる.各専門家がそれぞれの専門の病態に対して治療を行い,さらにまた,様々なガイドラインがそれを縛っている.医療費の算定も,基本的には何かを行うことにより収入が発生する仕組みになっている.医療においてはすべてが足し算であり,何かを引いてゆくということはほとんど考慮されることがないし,またそうしようというインセンティブも働かない仕組みになっている.
冠動脈インターベンションでも長い間をかけてこの過程が形成されてきた.冠動脈を経皮的にバルーンで拡張する方法が考えられたとき,冠動脈解離から生じる急性冠閉塞は大きな問題であった.パーフュージョンバルーンによる長時間の拡張や,大動脈バルーンパンピングでいったん押さえ込むなどの現場の努力も相当なものであった.ようやくステント植え込みが臨床の現場に登場することにより冠動脈解離をコントロールすることが可能となってきた.ここでステントが足し算になった.
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