Japanese
English
特集 呼吸器領域の新しい薬物療法
COPD
New Drug Treatments for COPD
平田 一人
1
,
栩野 吉弘
1
,
浅井 一久
1
Kazuto Hirata
1
,
Yoshihiro Tochino
1
,
Kazuhisa Asai
1
1大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
1Department of Respiratory Medicine, Graduate School of Medicine, Osaka City University
pp.307-318
発行日 2014年4月15日
Published Date 2014/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102442
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はじめに
COPDは喫煙などによる気道・肺の慢性炎症に基づく進行性の気流閉塞や肺の過膨張を特徴とし,運動時などの速い呼吸ではair trappingによる動的肺過膨張が促進し,労作時呼吸困難を生ずる.労作時呼吸困難は,日常活動性の低下を生じ,運動不足によるデコンディショニングを起こし,さらに労作時呼吸困難を悪化させるという悪循環を生じQOLを低下させる.COPDの重症化に伴い,全身の併存症も合併する.感染などを原因とする増悪は,自覚症状を悪化させるばかりでなく,COPDの進行を加速させ,QOLの悪化をさらに進め,特に重症以上のCOPD患者の死亡率・入院率・合併症・入院費など全体の医療費を増加させる.
安定期COPDの治療の目的は,労作時呼吸困難などの自覚症状や,運動能力や身体活動性を改善維持し,増悪を予防することであり,さらに病状の進行を予防し,合併症や併存症を予防し死亡率を減少させることである1,2).現在のCOPDの安定期治療は,禁煙,薬物療法,運動療法を中心とする包括的呼吸リハビリテーションであるが,近年特に長時間作用型気管支拡張薬の進歩により,COPDは予防と治療が可能な疾患になりつつある.しかし,喘息におけるステロイド薬のようにCOPDの気道炎症の制御や肺の気腫化,肺構造の破壊を改善できる薬剤は現在のところないのが現状である(図1).今回は,現時点での新しいCOPD薬物治療戦略と現在開発中または今後開発が期待される新しい薬物療法について述べる.
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