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はじめに
COPDは喫煙などによる気道・肺の慢性炎症に基づく進行性の気流閉塞や肺の過膨張を特徴とし,運動時などの速い呼吸ではair trappingによる動的肺過膨張が促進し,労作時呼吸困難を生ずる.労作時呼吸困難は,日常活動性の低下を生じ,運動不足によるデコンディショニング(deconditioning)を起こし,さらに労作時呼吸困難を悪化させるという悪循環を生じQOLを低下させる.COPDの重症化に伴い,やせなどの栄養障害,骨格筋の機能異常,うつ症状などの精神症状,循環障害,骨粗鬆症,消化器障害,肺癌などの発癌などの全身の併存症を合併し,さらに低酸素血症や肺高血圧も合併する.感染などを原因とする増悪は,経年的なFEV1の低下を増加しCOPDの進行を加速させ,QOLの悪化をさらに進め,COPD患者の死亡率・入院率・入院費など全体の医療費を増加させる.
COPDの重症度は,一般的にCOPDの進行に伴って増加するため,従来国際ガイドラインGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung disease(GOLD)20061)においては,閉塞性換気障害の程度だけで重症度を規定していた.しかし昨年発表されたGOLD2011 documentでは,最近行われた世界的な大規模臨床試験に基づき,重症度は従来の気流閉塞(%FEV1)のみで評価する方法は否定され,患者の現在の症状と将来リスク(気流閉塞と増悪頻度)による複合的な評価に変更され,それに応じて治療方針も決定することが推奨されるようになった2).
一方,本邦のCOPDガイドライン第3版(JRS2009)3)では,気流閉塞ばかりでなく,呼吸困難などの自覚症状に加え運動能力の低下や全身併存症や肺合併症も加味して包括的にCOPDの重症度を評価するようにされている.
今回はCOPDの重症度を規定する因子について述べることにする.
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