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はじめに
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙などによる気道・肺の慢性炎症に基づく進行性の気流閉塞や肺の過膨張を特徴とし,末梢気道病変と肺気腫病変が混在し呼気時の気道の狭窄〜閉塞を強める.特に運動時などの速い呼吸では呼気時の空気の捉えこみ現象(air trapping)により動的肺過膨張が助長され,労作時呼吸困難を生ずる.労作時呼吸困難は,身体活動性の低下を生じ,運動不足によるデコンディショニングを起こし,さらに労作時呼吸困難を悪化させるという悪循環を生じてquality of life(QOL)を低下させる.安定期COPDの薬物療法の基本は長時間作用性気管支拡張薬であり,COPDの管理目標をほぼすべての項目で改善できるようになってきている.
COPDの重症化に伴い,やせなどの栄養障害,骨格筋の機能異常,うつ症状などの精神症状,循環障害,骨粗鬆症,消化器障害,肺癌などの全身の併存症を合併し,さらに低酸素血症や肺高血圧も合併する.感染などを原因とする増悪は,経年的な一秒量(FEV1)の低下を増加しCOPDの進行を加速させ,QOLの悪化をさらに進め,特に重症以上のCOPD患者の死亡率・入院率・合併症・入院費など全体の医療費を増加させる1,2).
今回は,COPDの管理中に肺癌を合併した症例を取り上げ,酸化ストレスを抑制するnuclear factor erythroid 2-related factor 2(Nrf2)の話題と臨床上よく経験される併存症としての肺癌,最近広く使用されるようになった長時間作用性抗コリン薬(LAMA)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合薬(LAMA/LABA)の話題について述べることにする.
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