Japanese
English
研究と報告
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の認知機能に及ぼす運動療法の介入の検討
Effects of exercise training on cognitive function in patients with chronic obstructive pulmonary disease.
小林 茂
1,2
,
平田 一人
3
,
織田 恵輔
2
,
臼井 達矢
2
,
吉川 貴仁
2
,
藤本 繁夫
2
Shigeru Kobayashi
1,2
,
Kazuto Hirata
3
,
Keisuke Orita
2
,
Tatsuya Usui
2
,
Takahiro Yoshikawa
2
,
Shigeo Fujimoto
2
1学校法人履正社履正社医療スポーツ専門学校理学療法学科
2大阪市立大学大学院医学研究科運動生体医学分野
3大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器病態制御学内科分野
1Department of Physical Therapy, Riseisha Medical Sports College
2Department of Sports Medicine, Graduate School of Medicine, Osaka City University
3Department of Respiratory Medicine, Graduate School of Medicine, Osaka City University
キーワード:
慢性閉塞性肺疾患
,
認知機能
,
運動療法
Keyword:
慢性閉塞性肺疾患
,
認知機能
,
運動療法
pp.553-559
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110145
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要旨:〔目的〕慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,中・高齢者に多い慢性の呼吸症状をはじめ,全身炎症性疾患としてとらえられる.同患者は,活動時の呼吸困難感に伴って不活動性の悪循環となり,全身の生理機能が低下する.本研究ではCOPD患者に運動療法を施行し,同患者に多い認知機能の低下に及ぼす効果を検討した.〔方法〕症状安定期にあるCOPD患者15名(70.9±6.5歳)を対象とした.評価は認知機能をMini-Mental State Examination(MMSE)で検査し,6分間歩行テスト(6MWT)や日常生活活動(ADL)テストなどを実施した.8週間のコントロール期に引き続き,歩行運動を中心に負荷強度40~50%のレベルで,30~40分間,週3回8週間実施した.〔結果〕MMSEの平均値は初期25.5±1.9点,介入前25.7±2.1点,介入後27.9±1.7点であり,介入により有意(p<0.001)な改善が認められた.また,MMSEの細項目で特徴的に低下の認められた注意・計算機能,および短期記憶が,介入により有意(p<0.01)に改善した.このMMSEの改善の程度は歩行時のSpO2の低下の程度と相関し,運動能力の改善の程度と関連していた.〔結論〕COPD患者の認知機能は,8週間の運動療法の介入により運動能力の改善とともに注意・計算機能,および短期記憶を中心に改善が認められ,運動療法の有効性が示唆された.
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