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特集 COPD治療のさらなる展開を目指す―ガイドライン第4版を巡って
COPDガイドライン第4版の目指したところ
Aims of JRS COPD Guidelines 4th(ed) Providing State-of-the-art Information About Diagnosis and Managements
永井 厚志
1
Atsushi Nagai
1
1東京女子医科大学
1Tokyo Women's Medical University
pp.103-107
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102399
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はじめに
COPD(chronic obstructive pulmonary disease:慢性閉塞性肺疾患)は恒常的な気流閉塞を診断基準の単一指標とした症候群とみなされる疾患概念である.本症の罹患総数や死亡数は国内外を問わず増加の一途をたどっており,本邦では健康日本21として国民病の4大疾病の一つに挙げられている.近年,多面的な要因が関与するCOPDの病態に対しては,視点の違いにより必然的に生ずる疾患の捉え方や,管理・治療戦略に大きな変化がみられる.代表的な点を列記すると①表現型に伴う治療法の選択,②安定期における薬物療法の位置付けとリハビリテーションの重要性,③増悪の診かたと対応,④併存症に対する診断(考え方)と治療法,⑤進行したCOPD終末期患者に対する対応などである.これらは,日常診療で直面する診断・治療への課題であり,ガイドラインも医療への単なる情報提供に留まらず,実践的な診療の手順書へと方向を修正することが求められている.すなわち,より診療の実を得るための症状・QOL改善と疾患進行の抑制,予後の改善を基本とした治療法の提言や,症候群としてのCOPDに対する慢性気管支炎,肺気腫,喘息の位置付けと治療法,今日の標準的治療法においても解決することのできない呼吸困難症状に対する対処法などである.本稿では,新たな改訂COPDガイドライン第4版が何を目指して作成されたのか,その意図と姿勢について概説する.
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