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綜説
諸外国の慢性閉塞性肺疾患(COPD)のガイドライン
Guidlines for Management of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
永井 厚志
1
Atsushi Nagai
1
1東京女子医科大学呼吸器センター内科
1Department of Respiratory Medicine, Tokyo Women's Medical University Chest Institute
pp.795-802
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901945
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ガイドラインが作成された背景
呼吸器疾患領域においては,気管支喘息の診断と治療に関するガイドラインが作成されたのをきつかけとして,その後様々な疾患・病態に対しての診療ガイドラインがまとめられ上梓されつつある.このような時代背景のなかで,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)の診療ガイドラインが作られた理由は,1)疾患の理解が十分でないことから起こる診断率の低さや不適切な治療などの問題が多く存在すること,2)喫煙がその発症に密接に関与した疾患であることの認識と,3)2020年には虚血性心疾患,脳血管障害に次いで全疾患における死亡原因の3位の位置を占めるといった将来予測がなされ(表1)1),有病率,死亡率ともに今後さらに増加すると推測されていること,4)さらに終生ケアを要するために莫大な人手と費用が必要と考えられている点からである.
今日までに諸外国で公表されたCOPDのガイドラインを年代別に表2に示す2〜6).それぞれのガイドラインが対象として作成されたかをその記述に従うと,カナダ胸部学会では第一線の家庭医,欧州呼吸器学会ではCOPD患者の診療に従事する医師・医療従事者,英国胸部学会ではCOPD患者を扱う医師,看護婦,理学療法士のすべてを対象とするとしている.
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