Japanese
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特集 好酸球と肺疾患—最新の知見
COPDの基本病態に対する好酸球の関与
Eosinophil in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
永井 厚志
1
Atsushi Nagai
1
1東京女子医科大学第一内科
1Department of Respiratory Medicine, Tokyo Women's Medical College Chest Institute
pp.573-578
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901707
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はじめに
好酸球はアレルギー疾患の末梢血や組織中に多くみられ,呼吸器疾患では慢性気道炎症として理解されるようになった気管支喘息の病態増悪において主役を演じていると考えられている.一方,気管支喘息と同様に呼気閉塞を主病態とする慢性気管支炎や肺気腫では,疾患発生の原因や病態増悪に喫煙が関与していることは多くの研究から明らかとなっているが,病態形成機序の根幹をなす炎症像についての詳細は不明のままとなっている.近年,慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患における好酸球に焦点をあてた論文が散見されるようになった.これらの研究では,いずれも気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の違いが如何なる点にあるかを解明することや,COPDの治療法を新たに確立することが目的となっている.
気管支喘息とCOPDとの病態成立機序に関しては1960年代のDutch hypothesisにまで遡ることができる.この仮説では,素因を基礎とし,その後傷害因子が加わることにより喘息やCOPDとして表現される疾患に進展すると説明されている.この仮説は,対立するBritish hypothesisにより長く看過されてきたが,1990年代に至り再びその重要性が認識されるに至った.
類似の病態を示す気管支喘息とCOPDを比較検討することは,それぞれの疾患の病態発生機序をさらに深く理解するうえで重要である.本稿では喘息病態の中心細胞である好酸球に焦点をあて,COPDの病態には好酸球が如何なる関わりを持っているかについて解説する.
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