特集 進めよう! COPD対策
COPDの概念の変遷と対策の変化
永井 厚志
1,2
1東京女子医科大学
2新百合ヶ丘総合病院・呼吸器疾患研究所
pp.822-828
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208317
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COPD(chronic obstructive pulmonary disease;慢性閉塞性肺疾患)はタバコ等の有害物質を長期間吸入することにより末梢気道病変や肺気腫が形成され,これらの病変が複合的に作用し恒常性の気流閉塞を示す疾患と定義されている.COPDの治療・管理に当たっては,多面的な病態像を示す本症を,いかなる観点から捕捉するかによって診療手順や内容が異なる.
近年のガイドラインを渉猟すると,日本呼吸器学会が公表したガイドラインでは,COPDを気腫型と非気腫型に病型分類し,治療は呼吸機能や病状を複合的に把握したうえで重症度を決定し,それに応じたステップアップ治療を推奨している.国際ガイドラインGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)は,症状の程度と疾患進展のリスクを指標とし薬剤選択のあり方を示した.一方,スペインのガイドラインではCOPDの病型を肺気腫型,慢性気管支炎型,COPD-喘息合併型とし,それらの病型を基本にし,増悪頻度の程度による治療方針を示した.また,英国では気管支拡張症に対応するガイドラインのなかでCOPDを取り扱い,カナダでは持続する呼吸困難を軽減する手順書のなかでCOPDを取り扱っている.
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