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特集 多方面からの肺高血圧症へのアプローチ
先天性シャント性心疾患に伴う肺高血圧症
Pulmonary Hypertension Related to Congenital Heart Disease with Left-to-Right Shunt
八尾 厚史
1
Atsushi Yao
1
1東京大学保健・健康推進本部
1Division for Health Service Promotion, The University of Tokyo
pp.1128-1135
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102362
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はじめに
先天性シャント性心疾患(Congenital Heart Diseases with Left-to-Right Shunt;CHDS)のシャント起因性に発症した肺高血圧(PH)は,ダナポイント分類において1群の肺動脈性肺高血圧症(PAH)に分類され,その組織所見は特発性PAH(IPAH)に類似する.治療の基本は,軽症のうちに手術的/カテーテル的にシャント修復術を行いシャントをなくすことである.表1に,PAHを生じやすい代表的CHDSを記すが,心房中隔欠損症(ASD)のように三尖弁より静脈側にシャント口が存在する場合に比し,心室中隔欠損症(VSD)のように三尖弁より動脈側に(肺動脈側に)シャント口が存在する場合のほうが早期にPAHを発症しやすいため迅速な治療が求められる.病態の進行過程は,図1に示されるように左右シャントによる肺血流の増加により内皮機能障害が生じ,血管のリモデリングが進むとされ,肺血管抵抗値(PVR)の上昇からPH状態となる.さらに進行すると,右左シャントの発生から右左シャント優位となり,進行性・不可逆病態であるEisenmenger症候群(ES)状態に至り,もはや修復術は望むべくもなくなる.こういった経過から,治療を念頭に置いた臨床的なCHDS-PAHの分類を表2のように大きく3つに分けて考えると考えやすいので,この分類に従って治療指針の立て方を考察したい.また,この分類は2013年フランスのニースにおいて開かれた第5回肺高血圧国際シンポジウムにも準じている(筆者見聞).
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