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特集 全身性強皮症――病態解明と診断・治療UPDATE
全身性強皮症に伴う肺高血圧症
-――病態・診断・治療
Pathogenesis, diagnosis and management of pulmonary hypertension associated with scleroderma
波多野 将
1
Masaru HATANO
1
1東京大学医学部附属病院高度心不全治療センター
キーワード:
全身性強皮症に伴う肺動脈性肺高血圧症(SSc-PAH)
,
潜在的左心疾患に伴う肺高血圧症(occult PVH)
,
間質性肺炎に伴う肺高血圧症(ILD-PH)
,
肺静脈閉塞症(PVOD)
Keyword:
全身性強皮症に伴う肺動脈性肺高血圧症(SSc-PAH)
,
潜在的左心疾患に伴う肺高血圧症(occult PVH)
,
間質性肺炎に伴う肺高血圧症(ILD-PH)
,
肺静脈閉塞症(PVOD)
pp.257-261
発行日 2023年4月22日
Published Date 2023/4/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28504257
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全身性強皮症(SSc)は,膠原病に伴う肺動脈性肺高血圧症(CTD-PAH)をきたす代表的な疾患であるとともに,左心疾患に伴う肺高血圧症(PVH),間質性肺炎に伴う肺高血圧症(ILD-PH),肺静脈閉塞症(PVOD)など,さまざまな原因の肺高血圧症(PH)を呈する.これらの病態は常に明確に区別できるわけではなく,複数の病態を合併していることも多いため,鑑別には細心の注意が必要である.また,肺動脈楔入圧(PAWP)は正常であるが,左室拡張末期圧(LVEDP)が高値,あるいは生理食塩水負荷によりPAWPやLVEDPの上昇を認める,いわゆる潜在的(occult)PVHの症例も少なくない.近年,PAHの治療として,はじめから複数の薬剤を投与するupfront combination therapyが広く普及しているが,PAH以外のPHに対する安易な併用療法はかえって病態を悪化させる恐れがあるため慎むべきである.また,全身性強皮症に伴う肺動脈性肺高血圧症(SSc-PAH)に対しては原則,免疫抑制療法は無効であるが,SScを含むオーバーラップ症候群であっても,肺血管病変の主体がSSc以外の膠原病であると考えられる場合には,免疫抑制療法の有効性が期待できることもある.SScに伴うPHの病態は複雑であることが少なくないが,その病態を正しく理解することが至適な疾患管理を行ううえで重要となる.
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