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はじめに
気管支喘息は慢性の気道炎症と気道過敏性の亢進を特徴とする疾患であり,発症には遺伝的背景や環境因子など複数の要因が関与している.従来からアトピー性・内因性などのフェノタイプが提唱されてきたが,アトピー性や内因性を問わず眼や鼻の粘膜では局所的なアレルギーの概念が提唱されてきた1).最近では,気道局所に特異的IgEの存在が報告され,抗原に対する全身反応の差がアトピー性かどうかを規定する可能性も報告されている2).喘息は複数のフェノタイプからなる疾患群であると認識されており免疫応答,炎症反応の機序は多様であると考えられる.
喘息の発症・病態の成立には,免疫担当細胞,炎症細胞,気道構築細胞から産生されるサイトカインやケモカイン,炎症性メディエーターが関与している.アレルギー性喘息患者ではアレルゲン特異的な2型CD4+T(Th2)細胞がinterleukin-4(IL-4),IL-5,IL-9,IL-13などのTh2サイトカインを産生して,B細胞,好酸球,マスト細胞を活性化する.さらに活性化された炎症細胞から遊離されるIgE,ロイコトリエン,ヒスタミン,TGF-βなどの分子が病態形成に関与している.また,Th2細胞以外の免疫担当細胞であるTh1,Th17,制御性T(T reg)細胞から産生されるサイトカイン,好中球やマクロファージなどの自然免疫細胞についても喘息の発症や病態形成における役割が明らかにされつつあり,喘息の重症,難治化に関与すると想定されている.
近年,thymic stromal lymphopoietin(TSLP),IL-25,IL-33など気道上皮由来のサイトカインが関与する自然免疫を介した炎症のメカニズムが報告されており,喘息の発症や病態形成における役割が注目されている.
本稿では,主にサイトカインや免疫細胞を介した機序に関する知見をまとめる.
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