Japanese
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連載 呼吸器診療での肺機能検査の必要性とその活用・7
気管支喘息
Lung Function Tests in Asthma
濵田 努
1
,
寒川 卓哉
1
,
井上 博雅
1
Tsutomu Hamada
1
,
Takuya Samukawa
1
,
Hiromasa Inoue
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
1Department of Pulmonary Medicine, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University
pp.735-740
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102006
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はじめに
気管支喘息は,好酸球,肥満細胞,Tリンパ球などの炎症細胞と様々なメディエーターが関与した気道の慢性炎症性疾患であり,気道過敏性の亢進と,可逆性のある気流制限を特徴とする.気道過敏性は,非特異的な刺激に対する気道収縮の閾値が低下していることと定義される.気道構築の変化(リモデリング)により非可逆性の気流制限を来すこともある.種々の刺激により気道炎症が悪化し気道狭窄を生じて,咳や痰,喘鳴,呼吸困難などの症状を呈する.喘息の診断は,①発作性の呼吸困難,反復性の喘鳴,息苦しさ,咳などの喘息症状の存在,②可逆性の気流制限,③他の心肺疾患の除外によるが,喘鳴などの典型的な症状が欠如する場合もあり,診断が容易でないこともある.喘息予防・管理ガイドライン2009(JGL 2009)にはその診断の目安が示されている(表1)1).喘息は単一の検査のみによって識別することが困難なため,病歴や理学所見,肺機能検査結果に併せ,画像所見,喀痰検査や血液検査所見を含めて総合的に診断する.
喘息の気道狭窄は基本的に可逆性を示し,気管支拡張薬投与より,自然経過のなかでも概日リズムやエピソードにより気流制限の程度が変動するため,肺機能検査で気流制限を評価することが,喘息の診断や重症度の判定,治療効果の評価に重要となる.気流制限の評価には,従来から行われているスパイロメトリーやピークフロー測定,また近年普及してきている強制オシレーション法による気道抵抗測定法があり,本稿ではこれらの検査方法とその活用について解説する.
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