Japanese
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特集 肺疾患の炎症メカニズムとその制御
気管支喘息の炎症メカニズムとその制御
Regulation of Inflammatory Response for Bronchial Asthma
相良 博典
1
Hironori Sagara
1
1獨協医科大学呼吸器・アレルギー内科
1Department of Pulmonary Medicine and Clinical Immunology, Dokkyo University School of Medicine
pp.227-234
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100168
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はじめに
気管支喘息の基本的な病態である気道のアレルギー性炎症は,遺伝的要因と環境要因が複雑に絡み合い,多彩な炎症性・免疫担当細胞,肺構成細胞(気道上皮細胞,肺線維芽細胞,気道平滑筋細胞),メディエーター,サイトカインなどが関与して発生する(図1,2).ステロイドは網羅的な抗炎症作用によってアレルギー性炎症を制御するが(図3)1),完全とは言えない.
現在,気管支喘息の病態形成に関与する細胞,サイトカイン,接着分子を標的にした治療によって炎症・アレルギー反応を抑制する治療法が考案されている.すなわち,Th1/Th2サイトカイン不均衡に基づいたサイトカインを標的とした治療,Th2細胞への分化抑制や遺伝子のアンチセンスによるTh2サイトカイン産生抑制,炎症細胞の浸潤と機能抑制を目的とする接着分子を標的とした治療,IgE産生と反応系の抑制,細胞内シグナル伝達分子や転写因子を標的とした分子標的治療などである2).
さらに,難治性喘息や気道リモデリングなど,従来の治療では不十分な病態がある.これらを惹起させないためにも,特異的に把握できるような炎症マーカーが必要であるが,現時点で特定のマーカーを示すことは困難である.したがって,本稿では今後治療戦略として応用可能な,また今後可能性のある因子について概説したい.
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