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特集 呼吸器疾患と分子標的治療
喘息に対する分子標的治療
Molecular-targeted Therapy for Asthma
浅野 浩一郎
1
Koichiro Asano
1
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
1Division of Pulmonary Medicine, Department of Medicine, Keio University School of Medicine
pp.987-993
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101555
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はじめに
喘息の長期管理に用いられる主な治療薬には,副腎皮質ステロイド薬,β2刺激薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬,テオフィリン,抗IgE抗体,クロモグリク酸ナトリウム(DSCG)などの抗アレルギー薬がある.このなかで副腎皮質ステロイド薬,テオフィリン,抗アレルギー薬の多くは多岐にわたる生体分子に作用することによって治療効果を発揮する.β2刺激薬はβ2アドレナリン受容体という単一受容体に作用する薬剤であるが,ロイコトリエン,ヒスタミン,血小板活性化因子(PAF),コリン作動性神経刺激など様々な刺激によって生じる気管支収縮に拮抗することによって作用を発揮することから,一般には分子標的治療には含められない.そうなると,既存の喘息治療薬のなかで分子標的治療薬に該当するものは,ロイコトリエン受容体拮抗薬と抗IgE抗体ということになる.
図11)に示すように,喘息気道には治療標的となりうる様々な分子が存在し,さらに多くの新規治療薬が新たな喘息治療薬として開発が進められているが,本稿では,そのなかでも重症喘息の治療薬として注目されている抗IL-5抗体および抗TNFα薬について重点的に触れ,最後に開発中の分子標的治療薬についても一部ではあるが紹介したい.
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