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Current Opinion
喘息治療における薬理遺伝学
Pharmacogenetics of Asthma
浅野 浩一郎
1
Koichiro Asano
1
1慶應義塾大学医学部内科
1Department of Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.935-939
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902535
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薬理遺伝学とは
同じ疾患の患者に同じ薬物を同量投与しても同じ効果が得られるとは限らない.薬効(作用,副作用)の個体差には,例えば喫煙者でテオフィリン血中濃度が低下するように年齢,性別,喫煙,栄養状態,疾患,薬物相互作用などの後天的因子が大きく作用する.さらにそれらの後天的因子に加えて遺伝的因子が強く関与する場合も存在する.この薬効を規定する遺伝子を研究することにより,個々の患者にとって最も安全かつ効率的な薬物治療(テーラーメイド医療)を目指すのが薬理遺伝学(pharmacogenetics)である.
薬物に対する反応は,薬物動態(pharmaco—kinetics)と薬剤感受性(薬力学,pharmacodyna—mics)という2つの因子によって決定される.従来の薬理遺伝学の研究対象となってきたのは主に薬物動態に関与する遺伝子(薬物代謝酵素遺伝子など)であった.しかし,喘息治療薬はテオフィリンを除いては血中濃度の安全域が広く十分量の薬剤を投与することが可能であり,薬物動態の個体差の影響をうけにくい.そのため薬力学的観点からの検討が,特にβ2アドレナリン受容体刺激薬および抗ロイコトリエン薬に関して行われている.
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