Japanese
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特集 ALI/ARDS治療の新展開
ALI/ARDSの新しい治療法と将来への展望
New Therapeutic Approach for ALI/ARDS
林 伸一
1
Shinichi Hayashi
1
1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
1Division of Respiratory Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.603-610
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101496
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はじめに
Acute lung injury(ALI)およびacute respiratory distress syndrome(ARDS)の治療は,lung protective ventilation strategy(LPVS)をはじめとする人工呼吸管理と少量ステロイド投与などの薬物療法の進歩により,以前より予後は改善しているが十分とは言えない.また,これらの治療は従来治療のマイナーチェンジに過ぎず,ARDSの治療成績をこれまで以上に改善するためには,従来と異なる手法が求められる.ARDSの治療は,治療機序からは次の3つに分類できる.1)機能不全となった肺の血液酸素化を補う.2)過剰な炎症を抑制して肺損傷を防止する.3)損傷した肺の再生を補助して線維化を阻止する.この3点はさらに簡潔に,肺を休ませる,壊れないようにする,壊れたら直すとも表現できる.
現在,人工肺,液体換気,エンドトキシン吸着療法,人工赤血球,そして再生医療など,ARDSの新しい治療方法が開発中である.これらも上記の3点に分類できるが,たとえば酸素化を補助しながら炎症を抑制するなど複合的効果が期待できるものもある.
本稿では,ARDSの新しい治療法の現状と将来の展望について解説する.
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