連載 急性呼吸不全を考える:第2回
ARDS/ALIの病態生理
落合 亮一
1
1東邦大学医学部 麻酔科学第一講座
pp.700-703
発行日 2008年7月1日
Published Date 2008/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100147
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ARDS/ALIの発症メカニズム
ARDS/ALIは,胸部X線写真上びまん性の浸潤影が確認され,心不全を伴わない低酸素血症,と定義されます。全身性炎症反応症候群(SIRS)の一病態と考えられ,肺炎をはじめとして肺内に原因のある場合と,敗血症などの肺外に原因のある場合があり,非常に強い炎症反応の結果生じる病態です。
まず,炎症反応に伴い好中球や血小板が肺毛細管に集積し,肺局所での炎症反応が始まります。その結果,急性期には肺間質の浮腫によってガス交換障害,肺コンプライアンスの低下,気道抵抗の上昇を生じます。強い炎症反応のために浸出液が増加した結果,正常の含気を示す部分は大幅に減少します(図1)。
このように極端に含気の減った状態で人工呼吸を行うと,限られた肺容積が換気を負担することになり,気道内圧は上昇します。
Copyright © 2008, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.