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最近1年間のARDSをめぐる全体的な話題
acute respiratory distress syndrome(ARDS)は1967年にAshuburgとPettyらによりその概念が最初に報告された.そして1994年に統一基準であるAmerican European Consensus Conference(AECC)基準が作成され,多数の無作為化比較試験(RCT)が行われてきた.しかしながら,その効果が認められているのは,低1回換気による肺保護的換気療法のみである.そしてAECC基準作成から20年近く経過し,その間指摘された問題点を踏まえた改訂が行われ,2012年にベルリン定義が発表された1).表1に新旧の基準を示す.
ベルリン定義では,ARDSの軽症例と誤解されやすいacute lung injury(ALI)の分類を廃止し,ARDSをPaO2/FiO2(P/F)を基準とした酸素化の程度で3段階の重症度に分類したのが最大の変更点であるが,基本的にAECC基準を踏襲したものであり,大きな変更点はない.したがって,これまでと同様に様々な呼吸器疾患がARDSの定義に該当することが指摘されている2).また,ARDSは多彩なリスク疾患から発症する症候群であるため,酸素化のみで重症度を分類するのは限界があり,多角的な視点から病態を把握する必要がある.ベルリン定義はあらゆる施設で用いる基準として作成されたため,簡便でない検査は基準に盛り込むことが見送られたが,高分解能CT3~5)や経肺熱希釈法6,7)はARDSの鑑別と重症度判定に有用である.人工呼吸についてはリクルートメント手技とpositive end-expiratory pressure(PEEP)を適切に設定することが重要であり,酸素化以外の電気的インピーダンストモグラフィー8)などの新しい指標の使用が試みられている.
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