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綜説
ナノテクノロジーの循環器疾患への応用
Application of Nanotechnology to Cardiovascular Disease
中野 覚
1
,
江頭 健輔
1
Kaku Nakano
1
,
Kensuke Egashira
1
1九州大学大学院医学研究院循環器内科学
1Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University
pp.495-501
発行日 2010年5月15日
Published Date 2010/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101479
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はじめに
ナノテクノロジーは様々なマテリアル(カーボン,リポソーム,コロイドソーム,高分子ミセル,金属,高分子ポリマーなど)をナノサイズに加工し,応用する複合技術であり,多くの分野に応用されている.ナノテクノロジーの医療への応用(ナノ医療)は特に注目されている分野の一つであり,ナノ粒子の特長を活かして分子イメージングやドラッグデリバリーシステム(drug delivery system;DDS)に応用することによって新しい医療の創製が期待されている.
悪性腫瘍の新しい治療として抗がん剤や分子標的薬・遺伝子を封入したナノ粒子製剤の臨床試験が進んでいる.一方,循環器疾患に対するナノ医療の実用化研究開発は極めて少ないのが現状である.
われわれは生体吸収性高分子ポリマーである乳酸・グリコール酸共重合体(co-poly-lactic acid/glycolic acid;PLGA)をナノ粒子製剤化し,循環器疾患(再狭窄,虚血再灌流,急性心筋梗塞,治療的血管新生,肺高血圧症など)の治療に応用することを目指している.本稿では,ナノ粒子溶出ステントの臨床応用に向けた取り組みについて紹介したい.
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