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実験講座
生細胞研究のためのナノテクノロジー―光ピンセットとナノ計測
Nanotechnology for studying living cells: optical tweezers and single particle tracking
富重 道雄
1
,
楠見 明弘
1
Michio Tomishige
1
,
Akihiro Kusumi
1
1名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻
pp.313-318
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901210
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生きている細胞に適用できる「ナノ」テクノロジーが次々と誕生しつつあり,細胞生物学研究に革新をもたらそうとしている。特に,最近の光学顕微鏡とその関連技術のめざましい発展のおかげで,機能しているタンパク質分子を,1分子レベルで,ナノメートル/サブミリ秒の精度で観察し,ナノメートル/サブピコニュートンの精度で操作することができるようになってきた1-5)。タンパク質分子のサイズは数ナノメートルであり,タンパク質間の相互作用の力はピコニュートンレベルであるから,タンパク質1分子のレベルで,作動機構を調べるための方法がそろいつつある,ということだ。
われわれは,これらの技術―光ピンセット法とナノ計測技術―を,細胞膜の研究に応用している。この手法は汎用性が高いので,将来的には細胞生物学のほかの様々な系に応用できると思われる。本稿では,われわれが細胞膜研究に用いているシステムを例にとって,Ⅱ章で方法を解説し,Ⅲ章では細胞膜研究への応用例を紹介する。Ⅱ章は技術的な話が中心なので,光ピンセットを使ってどんなことができるのかに興味があるという方は,Ⅱ章をとばしてⅢ章を読んでいただきたい。
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