Japanese
English
綜説
食物中オキシステロール(酸化コレステロール)と動脈硬化
Dietary Oxysterols and Atherosclerosis
中野 覚
1
,
佐藤 敬
2
,
江頭 健輔
1
Kaku Nakano
1
,
Kei Sato
2
,
Kensuke Egashira
1
1九州大学大学院医学研究院循環器病先端医療研究開発学
2九州大学大学院医学研究院循環器内科学
1Department of Cardiovascular Research, Development, and Translational Medicine, Kyushu University
2Department of Cardiovascular Medicine, Kyushu University
pp.919-924
発行日 2011年9月15日
Published Date 2011/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101785
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はじめに
現在,日本は食生活の欧米化および超高齢・成熟社会により,心筋梗塞,狭心症,脳卒中,末梢動脈疾患などの動脈硬化性疾患が増加し,死因と寝たきりの主たる原因となっており,全死因の30%を占めるまでになった.動脈硬化性疾患の発症の最も重要な因子が高LDLコレステロール血症を含む脂質異常症であることは確立されている.本邦でも「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年度版」が発表され,高LDLコレステロール血症は冠動脈疾患の重要な危険因子であり,冠動脈疾患,脳梗塞の発症を予防するためには,高LDLコレステロール血症を中心とした脂質異常の改善をする必要があることがエビデンスレベルAとして勧告・推奨されている.さらに,LDLの酸化物である酸化LDLが動脈硬化性病変の進展に重要な関わりを持っていることが知られている1).
本稿では,LDLの酸化変性を誘導することが知られている食事中に含まれる酸化(劣化)コレステロール(オキシステロール)とそれに起因する動脈硬化病変の進展および動脈硬化病変の不安定化と破綻のメカニズムについて概説する.
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