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特集 低線量CT検診の現状と展望
肺がんCT検診のコンピュータ支援診断
Computer Aided Diagnosis for Lung Cancer CT Screening
仁木 登
1
Noboru Niki
1
1徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部
1Institute of Technology and Science, The University of Tokushima
pp.477-484
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101031
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まえがき
胸部CT画像のコンピュータ支援診断(CAD)が本格的に始まったのは,低線量ヘリカルCTが肺がん検診に導入されたことである.1993年に国立がんセンター森山紀之,金子昌弘,江口研二,柿沼龍太郎,大松広伸らによって「東京から肺がんをなくす会(東京都予防医学協会)」で肺がんCT検診が始められた1~4).この目的は肺がんを早期発見・早期治療することによって肺がん死を減少させることである.このCT検診は従来の単純X線画像に比べて取り扱う画像量が多いことから“如何に効率よく診断するか”が問題となった.このために情報通信技術を用いた新しい診断支援技術の研究開発が求められた.この要素技術として胸部CT画像から肺がんを検出するCADがあった5~9).徳島大学のグループは,臨床現場からの要求により胸部CT画像のCADの研究開発に着手した5~7).その後,マルチスライスCTの登場によりCADの研究開発はいっそう活発化している.
肺がんの画像診断は,1)存在診断,2)鑑別診断,3)確定診断に大別される.各診断においてCADが必要とされる.存在診断には低線量CT画像の肺がん(結節)検出用CAD,鑑別診断には高精細CT画像の肺がん(結節)鑑別用CADである.マルチスライスCTの時空間分解能の向上に伴って,肺がん以外にも診断対象を広げて肺気腫などの肺疾患,冠動脈石灰化などの心血管疾患,骨粗鬆症などの骨疾患のCADへと進展している10).さらに,CT画像にPET画像,MR画像を加えたマルチ画像融合型CADへと進展している.これらの技術進歩は検診現場から診断現場へと用途が拡大している.
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