Japanese
English
特集 低線量CT検診の現状と展望
繰り返し検診の意義と課題
The Significance and Problem of the Repeated Screening with Low-dose Helical CT for Lung Cancer
関 順彦
1
,
江口 研二
1
,
金子 昌弘
2
,
大松 広伸
3
,
柿沼 龍太郎
4
,
松井 英介
5
,
楠本 昌彦
6
,
土田 敬明
2
,
西山 祥行
7
,
森山 紀之
4
Nobuhiko Seki
1
,
Kenji Eguchi
1
,
Masahiro Kaneko
2
,
Hironobu Ohmatsu
3
,
Ryutaro Kakinuma
4
,
Eisuke Matsui
5
,
Masahiko Kusumoto
6
,
Takaaki Tsuchida
2
,
Hiroyuki Nishiyama
7
,
Noriyuki Moriyama
4
1帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科
2国立がんセンター中央病院内視鏡部
3国立がんセンター東病院呼吸器科
4国立がんセンターがん予防・検診研究センター
5東京から肺がんをなくす会
6国立がんセンター中央病院放射線診断部
7社会保険中央総合病院呼吸器外科
1Division of Medical Oncology, Department of Internal Medicine, Teikyo University School of Medicine
2Division of Endoscopy, National Cancer Center Hospital
3Division of Thoracic Oncology, National Cancer Center Hospital East
4Research Center for Cancer Prevention and Screening, National Cancer Center
5Anti-Lung Cancer Association
6Diagnostic Radiology, National Cancer Center Hospital
7Division of Thoracic Surgery, Social Insurance Central General Hospital
pp.469-475
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101030
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はじめに
肺がんの検出を目的としたCT検診の有効性は,検診集団の肺がん死亡率が減少することが証明されて初めて効果があると判断されるが,現在のところ肺がん死亡率の減少は証明されていない.近々,わが国のコホート比較試験(Japan Lung Cancer Screening Study;JLCSS)1)の結果が発表される予定であり,また2009年には米国のランダム化比較試験2)の最終解析結果が,また同年にはヨーロッパのランダム化比較試験3,4)の中間解析結果が発表される予定である.したがって,これらの結果が報告されて初めてCT検診の有効性に関する一定のコンセンサスが得られるものと考えられる.
しかしながら,現時点ではランダム化比較試験の結果報告は存在しないため,症例研究の結果報告からCT検診の有効性を推測するしかない.現在,単一施設によるCT検診で最も繰り返し検診期間が長く発見肺がん数が多いとされるのは「東京から肺がんをなくす会」である.これはハイリスクコホートを対象として年2回のCT検診を10年以上続けている会員制の低線量CT検診である.
本稿では,「東京から肺がんをなくす会」の検診データを基に5,6),「繰り返し低線量CT検診の意義と課題」について,①ステージシフトの有無からみたCT検診の有効性,②CT検診の適切な繰り返し期間,③CT検診の適切な繰り返し間隔,④CT検診受診者の特徴に基づいたさらに適切なCT検診の繰り返し間隔,⑤CT検診に伴う被曝の問題に焦点を当てて概説する.
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