Japanese
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特集 低線量CT検診の現状と展望
CADによる肺がん以外の胸郭病変の診断支援
Computer-aided Diagnosis of the Intra-thoracic Lesions using Low Dose CT
中野 恭幸
1
,
財田 伸介
2
,
仁木 登
2
Yasutaka Nakano
1
,
Shinsuke Saita
2
,
Noboru Niki
2
1滋賀医科大学呼吸器内科
2徳島大学工学部光応用工学科
1Department of Respiratory Medicine, Shiga University of Medical Science
2Institute of Technology and Science, The University of Tokushima
pp.485-490
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101032
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はじめに
胸部の低線量CT検診は,ほとんどの場合,肺がんの発見をその目的としている.しかし,低線量CT検診によってもたらされるデータを用いることにより,肺がん以外の胸郭内病変を評価することが可能であると考えられ,その方面の研究も進められている.たとえば,冠動脈の狭窄を発見するためには,現在のところ,高分解能マルチスライスCTによるデータが必要とされている.しかし,冠動脈に存在する石灰化や大動脈瘤を発見することは低線量CT検診データによっても可能である.また,椎骨部分のデータを解析することで,骨粗鬆症を評価する研究も進められている.さらには,低線量CT検診のCT撮像部位を少し下部まで伸ばし,臍の位置での断面を得ることにより,内臓脂肪を計測し,メタボリックシンドロームの診断に役立てようとする研究も行われている.あるいは,もっと簡便に,胸部における皮下脂肪計測を行い,この部位と臍の部位での皮下脂肪の相関関係を明らかにして,胸部における皮下脂肪計測でメタボリックシンドロームを明らかにしようとする研究なども行われている.一般に,低線量CT検診の受診者にはヘビースモーカーが多く含まれるため,喫煙がその主たる原因である慢性閉塞性肺疾患を診断しようとする研究も精力的に行われている.しかし,低線量CTであるがためのノイズの多さなど,克服すべき課題は多い.
本稿では,低線量CT検診データを用いた慢性閉塞性肺疾患(特に気腫性病変)の診断支援に関して述べたい.
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