特集 健診で異常を指摘された人へのベストガイド
【がん検診での異常】
がん検診での異常―肺癌
金子 昌弘
1
,
小林 寿光
1
,
楠本 昌彦
1
,
土屋 了介
1
1国立がんセンター中央病院内視鏡部
キーワード:
胸部X線写真
,
喀痰細胞診
,
低線量ヘリカルCT
,
血痰
Keyword:
胸部X線写真
,
喀痰細胞診
,
低線量ヘリカルCT
,
血痰
pp.343-345
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100589
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Case
比較的発育の遅い肺癌の1例
患 者:62歳,男性.
現病歴:自治体主催の肺癌検診を初めて受診し右肺尖近くに2 cm程度の淡い不整型の陰影を指摘された.60歳まで会社で毎年健診を受けており,以前から同部位の陰影は指摘されていたが,不変とのことで精査は行われていなかった.念のため過去数年のフィルムを取り寄せたところ,陰影の大きさはきわめてわずかに増大しているのみであったが,周囲の肺血管の集束や胸膜の陥入が強くなっていた.CTにて高分化腺癌の特徴をすべて認め,気管支鏡にて腺癌細胞が証明され,右上葉切除が行われた.
末梢の腺癌は自覚症状に乏しく,発育が遅いので,一見増大がなくても,正常構造の分析や高分解能CTでの読影で肺癌が疑われる場合には,積極的な精密検査が必要である.
肺癌検診の所見のみかた
肺癌検診は一般に,間接または直接X線写真と喀痰細胞診,また一部ではCT撮影によって行われている.したがって,肺癌検診で異常といわれた場合に,これらのどの検査で異常であったのかを確認する必要がある.
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