書評
―有田 眞 監修 犀川哲典,小野克重 編―QT間隔の診かた・考えかた
杉本 恒明
1
1関東中央病院
pp.316
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101008
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
QT間隔は心室筋の興奮の始まりから終わりまでの時間である.そこには心筋細胞の興奮・伝導に関わるあらゆる情報が含まれている.間隔の異常は思いがけない突然死を予測させ,あるいは背景にある虚血や心不全などの病態を想定させる.本書はそのようなQT間隔のすべてについて最新の知識を与えてくれる.
QT間隔と突然死というと,まず思い浮かぶのは先天性QT延長症候群であり,あるいは薬剤によるQT延長である.先天性QT延長症候群が記載されたのは1960年代であった.薬剤性のものは,歴史的な不整脈治療薬であるキニジンが使用されていた当時からキニジン失神として知られていた.1990年,CAST研究が不整脈の薬物治療に疑問を呈したとき,機械的かつ安易な治療薬使用が警告されたと考えたものもあった.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.