書評
―有田 眞 監修 犀川哲典・小野克重 編―QT間隔の診かた・考えかた
橋場 邦武
1
1長崎大学
pp.654
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101065
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臨床的な「QT間隔」の概念には,QT時間の計測値だけではなく,T波形の種々の情報も含意されている.「QT間隔」についてはこの十数年間の基礎的・臨床的進歩は非常に大きく,このことは今回刊行された本書と1999年の有田・伊東・犀川編集の当時最新であった『QT間隔の基礎と臨床QT interval and dispersion』を比較しても明瞭である.イオン・チャネル病としての重症心室性不整脈,抗不整脈薬の催不整脈作用の機序などとの関連において急速に研究が発展した「QT間隔」であるが,最近でもイオン・チャネル変異による新しい不整脈の発見なども含め,基礎的・臨床的にその内容が非常に深く広くなったばかりではなく,虚血や心不全の病態の理解や予後関連因子としての検討も行われている.「QT間隔」は不整脈や心電図に特に関心のある医師のみではなく,すべての循環器医にとって必須というべき領域となっており,この時期に本書が刊行されたことはまことに時宜を得たものといえる.
本書は,第Ⅰ部:QT間隔の基礎的背景と計測(第1-9章),第Ⅱ部:先天性QT延長症候群とその類縁疾患(第10-13章),第Ⅲ部:QT延長に影響する薬剤および病態(第14-18章),に分けられ,3部/18章から構成されている.
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