書評
―犀川哲典,吉松博信 編―糖尿病と心臓病―基礎知識と実践患者管理Q & A51
𠮷岡 成人
1
1NTT東日本札幌病院糖尿病内分泌内科
pp.636
発行日 2011年6月15日
Published Date 2011/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101727
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日本における2型糖尿病患者は増加の一途をたどっています.2007年の国民健康・栄養調査によれば,糖尿病とその予備群は合わせて2,210万人と推計され,この10年間で1.6倍にも増加しているのです.糖尿病で問題となるのは,何といっても慢性合併症です.
糖尿病の細小血管障害の代表である糖尿病網膜症に関しては,網膜症のために身体障害者手帳1級,2級を交付される患者数は年間3,000人ほどで,この10年ほどは増加の傾向は認められません.おそらく,糖尿病診療における内科と眼科との連携の強化,治療技術の向上,「糖尿病は成人の失明原因として重要な疾患である」といった一般市民の知識の向上が,失明に至る患者数の増加を抑止している要因ではないかと考えられています.また,糖尿病腎症による末期腎不全の患者数は増加しつつありますが,透析導入に至る患者数の増加の割合は,少しずつではありますが抑えられつつある傾向にあります.
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