Japanese
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特集 心血管疾患とエージング
高齢者の心房細動
Atrial Fibrillation in the Aged
山下 武志
1
Takeshi Yamashita
1
1(財)心臓血管研究所
1The Cardiovascular Institute Hospital
pp.1207-1214
発行日 2007年11月15日
Published Date 2007/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100918
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はじめに
心房細動は加齢に伴いその発生率が増加するが,同時に年代ごとにもその罹患率が増加しており(図1),社会の高齢化,時代の推移という二重の意味でその罹患人口は爆発的に増加している1).1995年当時のアメリカにおける推定心房細動患者が223万人という大きな数字から,高血圧や高脂血症と同様に“common disease”と考えるべきである.さらにこの不整脈は,不整脈自体として問題となるばかりか,この不整脈に付随する脳梗塞発症の危険性増大が懸念されている.疫学的には弁膜症を有しない心房細動患者においてさえ,総じて年間3~9%に脳塞栓を発症し2),生涯発症危険率は36%にも上るといわれている3).
高齢者が増加することが確実な日本の社会では,今後ますますこのありふれた不整脈に遭遇する機会が増加し,同時に心房細動による心原性塞栓症の発生数も増加することが予想されている.しかも,高齢者は個人差による多様性が存在するため,一般的な治療方針という考え方が成り立ちにくいうえに,高齢者に特化した臨床エビデンスも存在しない.
本稿では,高齢者の心房細動患者を目の前にした時に,どのような点を知っておくべきかについて述べる.
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