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Current Opinion
心房細動の治療戦略―レートコントロールかリズムコントロールか?
Therapy of Atrial Fibrillation:rate control or rhythm control?
山下 武志
1
Takeshi Yamashita
1
1(財)心臓血管研究所第3研究部
1The Cardiovascular Institute
pp.1049-1053
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100738
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心房細動の治療戦略をめぐる最近1年間の話題
心房細動が「古くて新しい不整脈」として注目され,その高い罹患人口と招きうる重症脳梗塞という視点から重要な医療課題としても認識が深まったことは周知の事実である.2001年には,ACC/AHA/ESCが協同で,また本邦でも日本循環器学会,日本心電学会,日本心臓電気生理ペーシング学会が協同してその治療ガイドラインを発表したことも記憶に新しい.
さらに最近1年間の話題としては,心房細動治療に関わる臨床大規模試験の結果が相次いで報告されたことに尽きるであろう1,2).これらの試験は,「心房細動」を前に果たして「洞調律がよいのか,心拍数調節がよいのか」という基本的命題を患者の生命予後から検討したものである.これまで医療側の視点から,「心房細動により脳梗塞や心不全が増加し,患者の運動耐容能やquality of lifeが低下するのだから,洞調律に維持したほうがベターであろう.」という心房細動仮説がごく自然に信じられてきた.しかし,これらの大規模試験は患者のアウトカムからみた場合に,この単純な心房細動仮説が誤っていることを実証し,ここ1年で心房細動の治療はその原点に引き戻されたといえる.
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