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最近1~2年のアスピリン喘息をめぐる全般的話題
最近日本語訳も出版された喘息治療ガイドラインGINA20021)に,アスピリン喘息(AIA=aspirin induced asthma)の簡潔な要約がある.AIAは成人喘息の4~28%にみられる.発症は30~40歳代で,長期化した喘息の血管神経性鼻炎,鼻ポリープを合併した経過中にアスピリン(COX=シクロオキシゲナーゼ阻害薬)不耐性を生じる.AIAの患者では非アスピリン喘息(ATA=aspirin tolerant asthma)に比べ好酸球が4倍多く,好酸球の産生,活性化に関与するIL-5の気道における発現が増加している.Cysteinyl leukotriens(Cys-LTs)の産生増加に特徴があり,気管支でのLTC4合成酵素の過剰発現も認められる.LTC4合成酵素の遺伝子多型もAIAの約70%で認められる.診断の確定には誘発が必要である.鼻試験は,感度は高くないが吸入試験に比較し安全で初期検査として有用である.アスピリンや非ステロイド系解熱鎮痛薬(NSAIDs)に対する不耐性は生涯続く.治療はステロイド薬が有用で,抗LT(ロイコトリエン)薬も有効,アスピリン減感作も有用と紹介されている.
AIAの病態にはアラキドン酸代謝,特にシクロオキシゲナーゼ(COX)とロイコトリエン(LT)代謝(図1)が重要であるが,これはトピックスの項で紹介する.喘息の呼気NO濃度は,気道炎症の程度に相関する.Parikhらは,鼻ポリープ組織ホモジネートのiNOSを測定し,鼻ポリープのみで喘息のない患者と,喘息で鼻ポリープはあるがAIAはない患者(ATA)は差がなく,AIA患者でのみ有意に高値であったと報告している2).
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