Japanese
English
ジュニアコース
肺胞の構造
Structure of Alveole
佐川 弥之助
1
Yanosuke Sagawa
1
1京都大学結核胸部疾患研究所胸部外科学部
1Chest Disease Research Institute, Kyoto University
pp.513-520
発行日 1970年6月15日
Published Date 1970/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202154
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はじめに
肺は,機能的に気道部,すなわち気管支系と呼吸部,すなわち肺胞系ないし肺胞領域とに大別される。
気道部の最末端である終末気管枝(terminal bron—chiole)は,さらに分岐して呼吸部の入口である呼吸細気管枝(respiratory bronchiole)に移行する。この部から末梢では,内胞から外に向ういくつかの?状突起,すなわち肺胞(alveole)がみられるようになる。
呼吸細気管枝からはさらに,3本の肺胞管(alveolarduct)が分岐しており,肺胞管の末端から3個内外の不規則な突起,すなわち肺胞?(alveolar sack)が出ている。肺胞?には多数の肺胞が認められる。
Miller1)は,肺胞管と肺胞嚢との間に肺堂(atria)なるものが存在しているといっているが,これには小川(睦)2)3)らの反論があり,一般には認められていない。
肺胞管から肺胞?が分れた部分からは,さらに,肺胞管に並行して支回肺胞?が出ており,隣り合った末梢気管枝間の空隙を埋めつくしている。
この肺胞?の壁には,毛細血管網のほかに,弾力線維,網状織,数条の結合織線維,および肺胞群らが認められる。
肺胞?の壁を形成している肺胞と呼吸細気管枝からでている肺胞との間には本質的には差違は認められない。
以下,本講では,肺胞の微細構造,これを取巻く肺胞毛細血管網および肺胞と毛細血管との相互関係,その他肺胞壁の支持組織等について述べる。
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