Japanese
English
特集 肺構造の変性と修復
肺気腫における肺構造の破壊とその機序
Mechanisms of Lung Structure Destruction in Pulmonary Emphysema
山谷 睦雄
1
,
佐々木 英忠
1
Mutsuo Yamaya
1
,
Hidetada Sasaki
1
1東北大学医学部附属病院老年・呼吸器内科
1Department of Geriatric and Respiratory Medicine, Tohoku University School of Medicine
pp.645-651
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100679
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はじめに
α1アンチトリプシン欠損症と慢性肺気腫発症の関係が明らかになって以来,エラスターゼを中心とした蛋白分解酵素(proteinase)による細胞外マトリックス傷害と肺胞気腔拡大という慢性肺気腫の発症機序が展開されてきた.プロテアーゼ・抗プロテアーゼ不均衡に基づく肺細胞外マトリックスおよび肺実質細胞の傷害は,α1アンチトリプシン欠損症以外にも,喫煙者の慢性肺気腫に関係すると考えられている.オキシダントによる肺の直接傷害作用やα1アンチトリプシン抑制効果も肺気腫発症において示唆されている.腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキン(IL)-8などの炎症性サイトカインによる肺の炎症の関与も指摘されている.さらに,α1アンチトリプシン欠損に加えて抗酸化酵素低下遺伝子多型性やTNF-α活性亢進遺伝子多型性,蛋白分解酵素合成遺伝子多型性などの遺伝子と慢性肺気腫発症との関係が明らかにされている.
本稿では,最近の知見を加えて肺気腫における肺構造の破壊とその機序について解説をしたい.
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