Japanese
English
Bedside Teaching
臨床検査としてのNO
Clinical Significance of Nitric Oxide
駒木 裕一
1
,
杉浦 久敏
1
,
一ノ瀬 正和
2
Yuichi Komaki
1
,
Hisatoshi Sugiura
1
,
Masakazu Ichinose
2
1東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座(感染症・呼吸器内科)
2和歌山県立医科大学第三内科
1Division of Respiratory and Infections Disease, Tohoku University Graduate School of Medicine
2Third Department of Internal Medicine, Wakayama Medical University
pp.595-602
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100673
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はじめに
近年,誘導型一酸化窒素合成酵素(inducible isoform of nitric oxide synthase:iNOS)由来の大量に産生された一酸化窒素(nitric oxide:NO)が,気管支喘息をはじめとする炎症性呼吸器疾患の病態に関与している可能性が動物モデルなどにより示された.またヒトを対象とした研究では,呼気NO濃度が測定され,特に気管支喘息患者では健常人に比べ有意に上昇,かつ気道炎症の程度と相関することが判明し,気管支喘息の診断や気道炎症をモニタリングする簡便かつ有用な方法であるとの報告が増えてきている.また,呼気NO濃度測定は他の検査(気道過敏性検査,喀痰好酸球,ピークフローなど)と比較し,その手軽さや非侵襲性から小児や肺機能の低下した高齢者でも繰り返し施行できるという利点がある.さらに他の検査に比べより鋭敏に炎症状態のみをモニターできるという特異性から,今後呼気NO濃度測定の重要性は高まっていくと考えられる.
本稿では,肺におけるNOの産生機序および生理的作用,呼気NO濃度の測定方法,各呼吸器疾患において呼気NO濃度がどのような意味をもっているかを述べていくことにする.
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