Japanese
English
綜説
梗塞後リモデリングと炎症
The Role of Inflammation in Post-infarction Ventricular Remodeling
安斉 俊久
1
Toshihisa Anzai
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
1Cardiopulmonary Division, Department of Medicine, Keio University School of Medicine
pp.587-594
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100672
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はじめに
心筋梗塞に対する急性期治療は近年目覚しい発達を遂げ,より重症例の生存が可能となったが,その結果,梗塞後に慢性心不全を呈する症例はむしろ増加するというパラドックスが生じている.心筋梗塞後には,梗塞部伸展に引き続いて非梗塞部心筋の代償性肥大・拡張が生じるが,この代償機構が慢性期に及んで破綻すると,進行性の左室容積増大から慢性心不全へと移行する.このいわゆる左室リモデリングの規定因子として,梗塞サイズ,左室壁応力,神経体液性因子などがこれまでに報告され,急性期再潅流療法,β遮断薬,ACE阻害薬を用いた左室リモデリングの予防が試みられてきた.
しかしながら,左室リモデリングを規定するもう一つの重要な因子である梗塞後の治癒過程については,過去にも僅かな報告が散見されるのみであった.最近,梗塞後に活性化される細胞外マトリックス分解酵素や炎症性サイトカインが,左室リモデリングに影響を及ぼすことが知られるようになり,梗塞後炎症とリモデリングの関係が着目されるに至った.
本稿では,梗塞後リモデリングにおける炎症・免疫応答の役割について概説する.
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