血液疾患と呼吸器病変

Pulmonary Complications in Patients with Hematologic Diseases

はじめに

　血液疾患は全身性に様々な病変を合併するが，そのなかでも呼吸器(肺)病変は頻度が高く，また多彩である．それは，基礎疾患による肺内浸潤・病変や基礎疾患の病態に関連するものと治療に関連するものなどがある．その種類や病像は多種多様であり，原因として感染性または非感染性に分けられ，急性または慢性に発症し，限局性，多発性またはびまん性の画像所見を示すが，それは特異的または非特異的であり，さらにこれらは基礎疾患や治療法によっても異なる^1～7)．そのため，その診断と治療は必ずしも容易ではなく，臨床的に問題となることも少なくない．

　このように重要と考えられる血液疾患における呼吸器(肺)病変のなかで，ここでは主に白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍に伴う呼吸器(肺)病変について述べる．