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連載 プライマリ・ケアのための呼吸・循環器診療⑰
胸部X線写真―正常およびよくみる呼吸器疾患の見方
Diagnostic Approach for Cardiovascular and Respiratory Diseases in Primary Care(17)―The Chest X-Ray: Screening of normal findings and detection of common respiratory diseases
川山 智隆
1
,
岡元 昌樹
1
,
東 公一
1
,
相澤 久道
1
Tomotaka Kawayama
1
,
Masaki Okamoto
1
,
Kouichi Azuma
1
,
Hisamichi Aizawa
1
1久留米大学医学部呼吸器・神経・膠原病内科
1Division of Respirology, Neurology and Rheumatology, Department of Medicine, Kurume University School of Medicine
pp.911-920
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100854
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1 はじめに
胸部X線写真撮影は簡便で単純な検査であるが,誰でも,どこでも検査が可能で,本検査から得られる情報は計り知れず,呼吸器疾患の診断や病態理解のアプローチにおいて不可欠な手段である.しかし,その読影において満足のいく情報を得るには,かなりの習練が要求される.胸部X線写真を読影する場合,呼吸器疾患の知識はもちろん,循環器疾患,整形外科領域疾患や全身疾患が胸部X線写真に及ぼす影響などを考慮しつつ,解剖学的,生理学的および病理学的な配慮をする必要がある.
胸部X線写真読影は呼吸器疾患に触れる第一歩であり,その技術習得は呼吸器専門医にとっての登竜門である.しかし,われわれ呼吸器専門医でさえ,胸部X線検査だけでは全ての呼吸器疾患を診断できるわけではない.呼吸器疾患の確定診断を得るために,胸部X線検査以外に生理機能検査,生化学検査,あるいは特殊な胸部CT検査や気管支内視鏡検査を用いることが必要である.このような診断に苦慮する呼吸器患者の大部分は,専門医ではなく,プライマリ・ケア医が初めに診察している.プライマリ・ケアでは,このような特殊検査が施行できず,現場の医師は胸部X線検査の情報のみで呼吸器疾患の診断および治療を迫られる.
本稿では,プライマリ・ケアにおいても役に立つ各種呼吸器疾患概念に基づいた胸部X線読影について解説する.また,専門医や高度医療施設へのコンサルトを含めた措置において,まず胸部X線写真読影の基礎および日常よく遭遇する呼吸器疾患を中心に述べ,後編では緊急性呼吸器疾患およびまぎらわしい呼吸器疾患について述べる.
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