Japanese
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特集 新しいテクノロジ-による肺末梢病変の解析
末梢気道の直接的換気力学測定
Direct Measurement of Ventilatory Mechanics in Peripheral Airways
黒澤 一
1
Hajime Kurosawa
1
1東北大学医学部付属病院内部障害リハビリテーション科
1Department of Internal Medicine and Rehabilitation Science, Tohoku University School of Medicine
pp.249-254
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100638
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はじめに
末梢気道は,その換気抵抗の全体への寄与度が低いことや病変が相当程度進行するまで症状として出現することがないなどの理由で別名silent zoneとも呼ばれていた.初期には,Woolcockらの動肺コンプライアンスの周波数依存性について発表した論文1)のイントロダクションで述べられた文章のなかで“silent zone”とネーミングされているのがみえる.MeadがNew England J Medicine 誌で小気道を“quiet zone”と題していたeditorial2)は多くの論文に引用されているのであるが,その中でもWoolcockらが既にsilent zoneと述べていることを引用していた.Meadのこのeditorialでは,小気道病変に起因するガス交換障害3),小気道の抵抗に年齢の影響があり小気道病変のインパクトが年齢によって異なること4)などの2つの論文を受けたものであったが,「本当にquietか?」あるいは「何がquietなのか?」という問いかけが背景に感じられる.その概念や解釈が多くの研究に影響を与えてきたため引用されたのであろうと思うが,つまるところ,小気道がいかにsilentであってsilentでないかがその後の重要課題であり続けたように思う.呼吸生理学的アプローチからの末梢気道の病態解明,特に直接的な診断は「容易ならざる技」5)として困難を極めたものであったが,いくつかの方法が開発されて,進歩を続けてきた.
本小論では,そこに至るまでの簡単な過程について述べてみたい.
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