Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
冠動脈疾患とスタチンをめぐる最近1年間の話題
高脂血症治療薬であるスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の冠動脈疾患に対する効果は,4Sをはじめとした数々の大規模臨床試験により一次・二次予防に関してエビデンスはほぼ確立している1~3).また,スタチンは高脂血症治療薬としての強力な血清コレステロール(特にLDLコレステロール)低下作用以外に,新たな効能・効果(beneficial effect)として多面的作用(pleiotropic effect)4,5)を持つことについてもエビデンスは確立しつつあり,血清LDLコレステロール値とは無関係に心血管系イベントを抑制したという報告も多い6~8).
最近1年間のスタチンの話題としては,まず国内では,強力な血清コレステロール低下作用を持つロスバスタチン(クレストール(R))が,わが国で6番目のスタチンとして認可され,効果・安全性を含めて,個々の患者に対しての治療薬選択肢が拡大したと思われる.特にアトルバスタチンの認可以降,ピタバスタチン,ロスバスタチンは,強力なLDLコレステロール低下作用(40%低下)を有しており,動脈硬化性疾患ガイドライン9)の患者カテゴリーB3以上の冠動脈疾患のハイリスク患者において,LDL-コレステロール管理目標値到達率の向上が期待できる.もう一つの話題として,わが国で初めて開発・認可されたプラバスタチンの心血管イベントに関する大規模臨床試験(MEGA study:Management of Elevated Cholesterol in the Primary Prevention Group of Adult Japanese study)10)の結果が報告されたことが挙げられる.MEGA studyは,日本人を対象とした心血管疾患の一次予防効果をみた試験であり,日本人におけるスタチンのエビデンスとして評価される.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.