連載 実は日本生まれの発見・11
スタチン
伊藤 公美恵
1
,
多田 紀夫
1
1東京慈恵会医科大学附属柏病院総合診療部
pp.1915
発行日 2013年11月10日
Published Date 2013/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107192
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HMG-CoA(3-hydroxy-3-methylglutaryl-CoA)還元酵素阻害薬(スタチン)の開発により脂質異常症の薬物治療は革命的な進歩を遂げた.臨床現場において今や世界中でfirst choiceとして認められている薬である.
生体内でのコレステロール生合成はアセチルCo-Aからいくつかの段階を経て行われており,その律速段階はHMG-CoAからメバロン酸へのHMG-CoA還元酵素による還元反応である.スタチンはこの酵素を阻害することによりコレステロールを低下させる薬である.世界で初めてこのタイプの薬の基礎となる物質を青カビ(penicillium citriunum)から発見したのが遠藤章博士(バイオファーム研究所所長)である.1960年代にはコレスチラミン,ニコチン酸誘導体,フィブラート系薬剤はすでに使用されていたが有効性・安全性の面からエビデンスが確保されたコレステロール低下薬はまだなかった.博士は当時,三共株式会社で研究を行い,1973年にML-236B(コンパクチン)を発見し,1976年に学術誌に発表した(FEBS Lett 72:323, 1976, J Antibit 29:1346, 1976).
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