Japanese
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Bedside Teaching
新潟県中越地震におけるタコツボ型心筋障害の多発
Takotsubo Cardiomyopathy under Niigata Chuetsu Earthquake
小玉 誠
1
,
渡部 裕
1
,
三間 渉
1
,
佐藤 政仁
2
,
相澤 義房
1
Makoto Kodama
1
,
Hiroshi Watanabe
1
,
Wataru Mitsuma
1
,
Masahito Sato
2
,
Yoshifusa Aizawa
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科器官制御医学講座循環器学分野
2立川綜合病院循環器科
1Department of Cardiology, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences
2Division of Cardiology, Tachikawa General Hospital
pp.751-756
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100425
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はじめに
タコツボ型心筋障害は1990年代にわが国で疾患概念が確立され,2000年代に入って広く世界中で認識されるようになった病態である1).典型例では,激しい情動ストレスを契機に胸痛・胸部圧迫感・呼吸困難が現れ,心電図でST-T異常を指摘される.急性心筋梗塞を疑い緊急冠動脈造影を行うと,ST上昇と胸痛が持続していても冠動脈には閉塞所見を認めない.このとき左室造影あるいは心エコー検査により左室心尖部を中心に広範な無収縮所見を認め,一方,心基部は過収縮を呈している.その特徴的な左室収縮異常の形態からタコツボ型心筋障害と命名された.好発年齢と性差に極端な偏りを認め,症例は大部分が高齢女性である.契機となるストレスは様々で,肉親の死亡・喧嘩・事故との遭遇などの情動ストレスが誘因となる他に,気管支喘息発作・くも膜下出血・感染症・手術など身体的ストレスが誘因となって発症する場合もある.
一方,大規模自然災害や戦争などの災禍は人々に大きな情動ストレスと身体的ストレスを与える.このような災害とタコツボ型心筋障害の関連についてはこれまで調査報告がなかったが,2004年10月の新潟県中越地震の直後にタコツボ型心筋障害の発生が増加していることが確認された2).
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