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特集 心血管病の薬物療法―ACEIとARBをどう使い分けるか
心疾患─ARBを優先する
Angiotensin Receptor 1 Blockade(ARB) vs Angiotensin-converting Enzyme Inhibitor(ACE-I):Is ARB superior to ACE-I for cardiovascular protection?
清水 光行
1
,
望月 正武
1
Mitsuyuki Shimizu
1
,
Seibu Mochizuki
1
1東京慈恵会医科大学循環器内科
1Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, Jikei University School of Medicine
pp.1131-1137
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100374
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はじめに
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系は高血圧性心肥大,虚血性心疾患による心室リモデリング,およびこれらの心疾患の終末像である心不全の発症と増悪に大きく関わっている.このRAA系の抑制薬であるアンジオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin converting enzyme inhibitor:ACE阻害薬)とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin receptor blocker:ARB)は,基礎的研究においても大規模臨床試験の結果からもこれらの疾患の予防と治療に降圧効果を超えた有効な作用があることが明らかにされている.両薬剤とも主たる薬理作用は,アンジオテンシンⅡ(AⅡ)の心筋への作用を抑制することによって効果を発揮する.しかし,その抑制機序の違いからお互いに異なった薬理作用をもっている(表1)1).最近の大規模介入試験(CHARM2);図1,Val-HeFT3);図2)においてもACE阻害薬とARBの併用療法がそれらの単独療法より優れた心保護作用があることが証明された.また,ARBの倍量よりもACE阻害薬との併用がより効果的である4).これらのことは,臨床においても両薬剤間には異なった心保護作用があり,併用することによって相加あるいは相乗効果がある可能性を裏付けている.
本稿では,これらRAA系抑制薬を単独で心臓保護作用目的で使用する際ARBをACE阻害薬に優先する根拠を探る.
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