Japanese
English
特集 レニン・アンジオテンシン系薬剤の最近のトピックス
PPARγ・アディポネクチンとARB
PPARγ-Adiponectin and ARB
倉田 晃文
1
,
船橋 徹
1
,
下村 伊一郎
1
Akifumi Kurata
1
,
Tohru Funahashi
1
,
Iichiro Shimomura
1
1大阪大学大学院医学系研究科・内分泌・代謝内科学
1Department of Metabolic Medicine, Graduate School of Medicine, Osaka University
pp.115-123
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100152
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
現代社会における過食・運動不足などの生活習慣は,肥満,特に内臓脂肪蓄積を招き,糖尿病,高血圧,高脂血症などを介して心血管疾患を発症させるメタボリックシンドロームの基盤となる.近年,脂肪組織が種々の内分泌因子(アディポサイトカイン)を産生・分泌し,その産生異常がメタボリックシンドロームを引き起こすことが明らかになってきた(図1).また,レニン・アンジオテンシン系(RA系)は血圧や体液・電解質の調節といった全身性作用に加え,心血管調節にかかわる組織に存在し,各臓器の機能を局所的にも制御している.脂肪組織にもRA系は存在しており,肥満者の脂肪組織におけるRA系遺伝子の発現亢進が報告されている.さらに,多くの疫学研究においても,肥満者は高血圧の発症率が高いことが証明されている.最近になりアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンII受容体阻害薬(ARB)がインスリン抵抗性を改善させることも報告されており,メタボリックシンドロームにおけるアディポサイトカインとRA系との関連が今後ますます重要になってくると考えられる.
代謝異常と関連が深いアディポサイトカインとして,レプチン,TNF-α,PAI-1,レジスチンなどが知られているが,本稿ではアディポネクチンの生理的作用を中心に述べる.さらに,アディポネクチンとARBとの関連についても紹介する.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.