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特集 心血管病の薬物療法―ACEIとARBをどう使い分けるか
心疾患─ACEIを優先する
Predominance of ACEI use for the Management of Cardiovascular Diseases:Clinical aspects
猪又 孝元
1
Takamoto Inomata
1
1北里大学医学部内科学II
1Department of Internal Medicine II, Kitasato University School of Medicine
pp.1125-1129
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100373
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はじめに
心不全の長期予後に着目するevidence-based medicineの先駈けとなったのは1987年に発表されたCONSENSUSである1).それまでは,心機能を構成する古典的三要因,すなわち前負荷・後負荷・心収縮能の状態把握と介入のみに基づく心不全管理が行われていた.ACE阻害薬(ACEI)が単独で予後改善効果を示した大規模臨床試験の結果は,心不全病態形成におけるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の重要性をクローズアップさせた.次いでアンジオテンシンII(A-II)受容体拮抗薬(ARB)の登場とともに,RAASの制御が心不全管理の主軸であるとの再確認に至る.さらに,Val-HeFT2)やCHARM-added3)によりACEI既投与心不全例へのARB追加の有効性が実証された.これは,両薬剤が異なる作用機序を含有していることを認識させた.
基礎的病態の解釈は他稿に譲るが,確かにキニン系や2型A-II受容体,NO産生系など,二者は明らかに異なる作用機序を有する.しかし,有効性発現の主体は,あくまでも心血管リモデリング促進因子であるA-IIという悪玉ホルモンの効果抑制に基づく.この同一軸にある両薬剤の位置づけは極めて重要な課題だが,その検討はなぜか十分とは言い難い.ここでは,まずACEIの心疾患管理における役割を大規模臨床試験の結果に基づきレビューする.そしてARBとの対比を踏まえ,心疾患管理におけるACEI選択の妥当性を臨床レベルで論ずる.
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