Japanese
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特集 レニン・アンジオテンシン系薬剤の最近のトピックス
ARBと拡張期心不全
ARB and Diastolic Heart Failure
小林 茂樹
1
,
矢野 雅文
1
,
松﨑 益德
1
Shigeki Kobayashi
1
,
Masafumi Yano
1
,
Masunori Matsuzaki
1
1山口大学大学院器官病態内科学
1Department of Molecular Physiology and Bioregulation, Yamaguchi University School of Medicine
pp.151-159
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100157
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従来,心不全は心臓のポンプ機能の低下,すなわち左室収縮能の低下とそれに基づくうっ血・体液貯留が主体をなすと考えられていたが(収縮期心不全),最近では,心不全症例の約40%に左室駆出率が保持されている拡張期心不全が存在することが明らかとなっている.拡張期心不全の病態は未だ不明な点が多く,その薬物療法は確立していない.しかしながら,一般に心不全では,カテコラミンやレニン・アンジオテンシンといった神経体液性因子の活性亢進が予後を悪化させるため1~3),収縮期心不全と同様に,拡張期心不全にもレニン・アンジオテンシン系の阻害薬の有効性が期待される.アンジオテンシンII拮抗薬(ARB)の心保護効果としては,循環および心筋組織内RAA系の抑制による血行動態的負荷軽減と左室リモデリングの抑制に加えて,交感神経抑制機構による心筋細胞内カルシウムハンドリングの改善が重要である.
本稿では,最近の知見をふまえて拡張期心不全の病態を考察し,ARBの心保護効果,特に交感神経抑制に伴う心不全時のカルシウムハンドリング改善効果および心肥大・線維化抑制効果について概説する.
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