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特集 心血管病の薬物療法―ACEIとARBをどう使い分けるか
高血圧―ARBを優先する
Hypertension:ARB is used preferentially
松岡 博昭
1
Hiroaki Matsuoka
1
1獨協医科大学循環器内科
1Department of Hypertension and Cardiorenal Medicine, Dokkyo University School of Medicine
pp.1119-1124
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100372
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高血圧の薬物治療の目的は,降圧することにより心血管疾患の発症を予防することにある.現在多くの降圧薬が登場してきているが,そのなかでもレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬であるACEIとARBはともに臓器保護作用を示すことが報告されており,優れた降圧薬であると認識されている.ACEIとARBのいずれが降圧薬として優れているかについては議論のあるところであるが,ここでは降圧薬として備えておくべき重要な点をACEIと比較しながらARBを優先するという立場で述べてみたい.
薬理作用からみた両者の比較
周知のごとく,ACEIはアンジオテンシン(AⅡ)の産生を抑制する一方,キニンの分解を抑制し,NO産生を刺激するとされている.したがって,AⅡの抑制とNOの増加が降圧および臓器保護に関与しているとされている.一方,ARBはタイプ1受容体を介したAⅡの作用を受容体レベルで遮断することにより降圧作用を示すが,この際,内因性のAⅡがタイプ2受容体に結合し,臓器保護的に作用する可能性が示唆されている.臓器・組織においてはAⅠからAⅡへの変換はACEのみならず,キマーゼ経路などによってもAⅡが産生されるので,完全にAⅡ作用を抑制するにはARBのほうが優れていると考えられるが,ACEIはキニン系の刺激という付随的作用があり(ARBにもタイプ2受容体刺激という付随的作用があるが),いずれの薬剤が降圧薬として優れているのかについては薬理作用だけからは判断し得ないと思われる.
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