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特集 レニン・アンジオテンシン系薬剤の最近のトピックス
ARBと糖尿病
ARB and Diabetes
堀内 正嗣
1
Masatsugu Horiuchi
1
1愛媛大学医学部分子細胞生命科学医化学・心血管生物学
1Division of Medical Biochemistry and Cardiovascular Biology, Department of Molecular and Cellular Biology, Ehime University School of Medicine
pp.143-149
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100156
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高血圧,糖尿病,高脂血症,肥満の合併はよく知られており,メタボリックシンドロームとして捉えられ,インスリン抵抗性,高インスリンがその病態の基礎として注目されている(図1).最近の大規模臨床スタディにおいて,ACE阻害薬,ARBが糖尿病の発症を抑制するとの報告もなされており,動物実験においてもアンジオテンシンII投与により,血圧の上昇とともにインスリン抵抗性の増大が認められており,更に肥満とアンジオテンシンIIの関係も注目されている.今後,この分野での更なる研究の発展が期待される.
レニン・アンジオテンシン(RA)系が血圧調節だけでなく,心,血管,腎,脳などの主要臓器の病態生理に深く関わっていることが次第に明らかにされてきた.また,アンジオテンシンIIが,インスリンをはじめ,メタボリックシンドロームに関与している種々の因子とも密接にクロストークして作用し,その病態生理に関与していることが次第に明らかにされ,受容体レベルでのクロストークも注目されている.更に,細胞,分子レベルでのアンジオテンシンIIの作用が解明されてきており,これらの研究成果は,RA系が,血圧調節,各組織のリモデリングだけでなく,従来考えられていた以上に広範囲に作用している可能性を示唆している.
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