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特集 肺疾患の炎症メカニズムとその制御
過敏性肺炎の炎症メカニズムとその制御
Inflammatory Mechanisms and Regulations in Hypersensitive Pneumonitis
宮崎 泰成
1
,
吉澤 靖之
1
Yasunari Miyazaki
1
,
Yasuyuki Yoshizawa
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学
1Department of The Integrated Pulmonology, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University
pp.255-267
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100172
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はじめに
過敏性肺炎あるいは外因性アレルギー性胞隔炎は,免疫学的な機序で起こる原因の明らかな間質性肺炎の代表的疾患である.その原因抗原は,真菌や動物の異種蛋白などの有機物あるいはイソシアネート1,2)などの低分子化学物質である.急性過敏性肺炎は,抗原の反復吸入の結果生じた特異抗体や感作リンパ球が原因抗原と肺局所で免疫反応を起こし,病理組織学的には細胞性細気管支炎,肺間質の肉芽腫とびまん性慢性炎症細胞浸潤を示し,肺既存構造の改築には極めて乏しい.一方,慢性過敏性肺炎は感作リンパ球と原因抗原との反応が主体と考えられ,小葉中心性の線維化から始まり,進行すると肺胞構造の改築を来し,その病理像は多彩になる3).
アレルギー性疾患の根底には炎症機転があることが最近のサイトカイン,ケモカインおよび接着分子の研究で明らかになってきている.過敏性肺炎でも抗原曝露後の急性期には,好中球4,5)や肥満細胞6)といった細胞が肺局所に流入し,エフェクター細胞としてアレルギー性炎症を形成する4,7).その後,リンパ球が炎症局所に集積し,それらの産生するサイトカインやケモカインがアレルギー性炎症をコントロールしている8,9).そこで急性および慢性の過敏性肺炎におけるアレルギー性炎症のメカニズムについて,サイトカインやケモカインを中心に解説する.また,制御する因子としての疾患感受性遺伝子,喫煙やウイルス感染についても述べ,将来の治療の展望についても考えてみたい.
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